白鷺木工
しらさぎ椀M sibo
手に持つたびに、しっくりくる椀
朝の味噌汁を注ぐ、それだけで手元が変わります。
しっとりと手に吸い付くような持ち心地は、熱い汁物を持ち続けても疲れにくく、毎日の食卓にごく自然に馴染んでいく。

ナチュラルから黒、赤まで、食卓の雰囲気に合わせて色を選べるのも、この椀の静かな楽しさです。
伝統の工法が、使いやすさになる
漆にたんぱく質を混ぜ、叩き塗りすることで細かな角を立てる絞漆(しぼうるし)。
古くから盆の裏などに施されてきた、丈夫で滑りにくいこの工法を、椀の表面に活かした一品です。

持ったときのしっとりとした抵抗感は、手の中で器が安定し、熱い汁物も落ち着いて持てる。
見た目の美しさと、使うための強さが、ひとつの椀に宿っています。
使う人の顔を知りたくて、始めた仕事
山中漆器の木地づくりを担う白鷺木工では、新しい器を作るたびに、まず自分で使ってみることから始めます。
手に持ったときの重さ、口当たり、日常の中での使い心地——それを確かめながら形を整えていく。

伝統的な挽物轆轤の技術を受け継ぎながら、仕上げを担う漆器職人の声を聞き、工程を見直し続けてきた。

「使いやすいものって、美しいんです」というつくり手の言葉が、この椀の土台にあります。
(取材・執筆:monotomoi編集部)
白鷺木工
白鷺木工 戸田勝利さん
略歴
山中温泉の木地工房「白鷺木工」の3代目。大学まで野球に打ち込み、卒業後は山中町役場(現・加賀市役所)へ就職。その後、地元の職人の言葉をきっかけに家業を継ぐことを決意。木地職人に弟子入りし、挽物轆轤技術研修所で学んだ後、家業へ戻る。現在は自社ブランド「SHIRASAGI」を立ち上げ、山中漆器の新しい形を模索している。
ものづくりで大切にしていること
白鷺木工は山中漆器の木地づくりで地域の多くを支える工房。伝統的な挽物轆轤の技術を活かしながら、「使いやすさ」を何より大切にしている。新しい商品は必ず自分で使い、日常の中での使い心地を確かめながら形を整えていく。
仕事観・人生観
問屋からの発注だけでは、誰が使っているのか分からない。そんな違和感から、使い手の顔が見えるものづくりを目指すようになった。使う人を想像しながら丁寧に作ることで、ものの完成度は自然と高まると考えている。
ストーリー紹介
自社ブランド「SHIRASAGI」を立ち上げたきっかけは、職人としての素朴な疑問だった。「自分たちが作った器は、誰がどんなふうに使っているのだろう」。その問いを起点に、仕上げを担う漆器職人の声を聞き、工程を見直し、使い心地を徹底的に追求するようになった。戸田さんが大切にしているのは、「使えるからこそ、美しい」という考え方だ。